ハッピーアワーは恋する時間
「腹減ってないか」
「・・・おなかすいた」
「だろうなぁ。肉取ってくる。おまえはここで待ってろ」
「うん」

左手で前髪をかき上げた亜幸さんは、その手を下げると、今度は指の背で、私の頬をそっと撫でてくれた。
そして・・・ニコッと私に微笑むと、サッと立ち上がって、バーベキューグリルがある方へ歩いて行った。

・・・キス、されるかと思った。
ちょっと・・・いや、かなり残念。

私は、ドキドキ高鳴る胸をなだめながら、自分の唇にそっと触れつつ、亜幸さんとの心の距離がグンと縮まったのを、確かに感じていた。

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