【短編】愛トキドキ憎しみ
「……んーっ、何が?」


「慎司っ!! 起きてたの!?」


「んや……今、目ー覚めた」



そう言って少し体を起こすと、私の唇に軽く触れた。


こんな甘い時間が好き。


何かくすぐったいよね……。



「ん〜、いつの間にこんなに好きになったのかなって思って!」



笑顔を向けた私に「可愛いやつ」って言って、優しく頭を撫でる慎司の大きな手。


愛しそうに見つめる慎司の瞳。


そして……。


いつまでも耳に残る甘い囁き。



「好きだよ……玲花。浮気すんなよ?」



言われなくたって、そんな当たり前のこと答えは分かり切っているでしょ?


するわけないじゃん。


慎司しか見えていないんだから。


だからね……。



「もちろん! だけど、浮気したらやりかえすよ!」



それはもう最高の笑顔で、少し冗談まじりに出た言葉だった。



「するわけないじゃん、俺には玲花だけ」



慎司も当たり前のように、鼻で笑いながら即答する。


……まさか、


この何気ない会話が現実になるとは。


この時は思いもしなかった……。




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