初夏…君を想う季節
後の祭り
言って後悔しても遅い。

そう分かっていても、涙を目一杯溜めて
今にも泣き出しそうな彼女を見ると
そう思わざるを得なかった。

真面目すぎるくらい真面目な彼女のことだ。
もしここで断ってしまったら
自分はどうなってしまうんだろうと思ったんだろう。

俺は安心させるように彼女に
“断ってくれたって構わないんだ。
立場を利用することなんて何があっても
絶対にしないから”と言った。


終わった…そう思った。


でも結果は俺の予想とは全く違う方向に進んでいった。

“い、いえ。その、ただただ嬉しくてなんと言葉で表現すればいいのかと思って。
えーっと、お返事ですよね。
今の私の心を表現するなら、赤く染まった夕焼け空よりも綺麗な赤で染まっています。
どれほど嬉しいと伝えても、どれほど感謝を口にしても、
今の私の心を表現できる言葉などありません。
ずっと貴方を見てこの一年と少しを生きてきたのですから”

ゆっくりと言葉を紡ぎ出した彼女の笑顔に
俺は一瞬我を忘れかけてしまうところだった。

必死に心の中で落ち着けと何度も唱えながら
俺は“なんて素敵な告白の返事だろう。いいえかはい、そんなものしか返ってこないと
ふんでいた僕の予想は大きく裏切られてしまったな。
ありがとう。ずっとその笑顔のまま僕の傍に居て欲しい。
君は僕の向日葵なんだよ。どうか宜しく頼む”そう答えた。
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