サンドリヨンに憧れて
いい意味・・悪い意味
週明け・・・一緒に通勤しようと言ってはくれたが、

とりあえず今日は勘弁してほしいと願い、一人で通勤していた。

案の定、会社に近づくたび私の顔を見てくる他の課の人や

同期達がばらしたのか後輩までの視線が痛かった。

コンビニに立ち寄り、コーヒーを買っていると、同じ課の後輩が

声をかけてきた。

「香澄さん!」

「あ・・おはよう・・」

「ちょっと!どういうことですか?王子と付き合ってるって!」

その声の大きさに回りの無関係な人までがこっちをみてきた。

「ちょっと声がでかいわ・・もうちょっと静かに話されへんかな」

「あ・・すいません・・でも!」

「・・・わかった。後で聞くから、とりあえずここはやめて」

「はーい。それじゃ私が驕りますんで・・・」

私の持っていたコーヒーは取り上げられお金を払ってくれた。

詳しく聞かせろ・・ってことか・・・

「はい!どうぞ!」

にこっと笑いながら渡されるコーヒーに苦笑いするしかなかった。

コーヒー代でどれだけ突っ込まれるのか・・・彼にも味わさせたい・・

後輩の容赦ない攻撃を・・・

会社に着くとすでに彼はデスクに座って仕事をしていた。

「おはようございます・・・」

「おはよう・・」

その会話をじっと見ている人の目がいつもと違っていた。

ふっとため息をつきながら自分の席に座り、パソコンの電源を入れた。
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