アクアブルーのラヴソング
「美耶子のお父さんまだぼくのこと嫌いなの?」
美耶子は笑った。
「だからー別に嫌いじゃないってぇ~」
単にぼくがそう思っているだけだろうか。どうもあの父親は、ぼくのことを嫌っているような気がする。
「いいから、早く行こ」
美耶子はぼくの腕に自分の腕を絡ませ、ぼくらは駅のホームに向かって歩き始めた。
ちなみに、ぼくはこちらに来てから電車に乗るのははじめてで、電車が好きなぼくにとっては、アメリカの電車にはじめて乗ることも、この日の大きな楽しみのひとつだった。
「ミャーコと会えなくて寂しかった?」
歩きながら、唐突に美耶子が尋ねた。ぼくはまだ見ぬアメリカの電車を想像するのに少し夢中になっていたので、「ん、まぁ」と適当に返事をしてしまった。もちろん、この一週間、ずっと美耶子のことばかり考えていたのだけど。
美耶子は前を見たまま「フーン」と言った。
その何か含みのある響きに、ようやくぼくは自分の失態に気づいたが、そのときはすでに時遅しだった。
「わたしはすごく寂しかったよ」
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