Assassins
私刑
「待ってくれてると思ってんのか」

夜の道を歩きながら、松岡が言う。

隣を歩く亮二は押し黙ったままだ。

「まず間違いなく、あの女は警察に保護されるだろうよ。んでもって然るべき施設に送られ、心身の傷の治療を受けながら過ごす事になる。俺達と行動を共にするよりずっと安全だろうよ。だがな」

松岡は亮二の顔を指差す。

「あの女がお前の帰りを待っててくれるなんてムシのいい事考えてんなら、お前甘ちゃんもいいとこだぜ?幼馴染みとはいえ人殺しに成り下がった男を、誰が待っててくれるってんだ。俺達ゃ忌み嫌われて当然の存在だぜ。わかってんのか?」

「…言われずとも十分わかってますよ」

松岡の顔すら見ずに言う亮二。

「かーっ!何処までもお人好しだなテメェは!わかってんなら一発ヤッてから警察に保護させりゃいいものをよ!あんないい女抱く機会、そうそう巡って来やしねぇぜ?勿体ねぇとは思わねぇのかテメェは!」

「…松岡さんはそればっかりですね…」

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