誘惑したくなる上司の条件


外に出るとすぐに「契約成功させたご褒美に昼飯奢ってやる」と課長。

「契約を成功させたのは課長です…」

「そうじゃないぞ?俺の資料は、ただお前の作った資料の中で重要な部分だけを引き抜いたものだ。」

「それでもです!」

「固い事を言うな。昼飯に行くぞ」


課長が来なければ私は、悔しい思いに唇を噛み締めながら、今頃一人で、自分の無力さに泣いていたかもしれない。



「どうして来てくれたんですか?」

「たまたま。

たまたま同じエリアにいただけだよ」

言いながらそっぽを向く。


あの資料もたまたま持っていたとでも言うんですか?




お人好しな性格なんて言われても、この件ばかりは納得しませんよ?

私が心配だったから…

そう、言ってくれないと…。


嫌なんですから。



< 91 / 186 >

この作品をシェア

pagetop