不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜



そんな中、私の横を元気な声が通り過ぎていった。


「ママ見て!あそこの屋根にいっぱい風船がぶら下がってるよ!!」



風船??



思わずその声の主の方へ視線を向けてみると五歳くらいの男の子が海パン姿で駆けて行く。


そしてお目当ての風船なるものの目の前へと辿り着いた。



あ!


風船って、ビーチボールのことだったんだ!


男の子の前にはカラフルなビーチボールや浮き輪、水着たちが彩るお店が一軒そこにはあった。



その小さなお店はとても開放的な造りをしていて、耳をよくすますと綺麗に奏でるウクレレの音楽が聴こえてきた。



このお店も南国風な造りにしているのかな?



自然と足がそのお店へ向いた。



するとお店の奥から意外な人物が顔を出した!




「えっ!!ヤスさん?!!」


「ん?…あれ?鳴瀬さん?どうしてこんなところに……って、そうか!さては鳴瀬さんも友達と一緒にバイト?」


と、なぜかショッキングピンク色のアロハシャツを着て黒いサングラスを胸元にかけたヤスさんの姿はとても高校生には見えない…。




な、なぜこんな恰好をしているのだろうか。




って!それはさておき!


「こんなところでいったい何をしているんですか!?」


とすかさずヤスさんに疑問をぶつけてみる。


「何って、見ればわかるだろ?バイトだよ、バイト。鳴瀬さんこそ今日バイトしに来てるんじゃないの?ほら。さっき鳴瀬さんのダチの二ノ宮さんを見かけたから一緒に来てるんだと思ってさ。」



あ!



もしかしてちーちゃん達と一緒に来てると思われちゃってる!?

< 64 / 98 >

この作品をシェア

pagetop