続・祈りのいらない世界で
◆エピローグ◆男3人、女2人

 

婚姻届に書き込んだ


北山 祈
清田 美月


2つの名前。







「げへへへっ」

「気色わりぃ笑い方すんな」



先程から婚姻届に並ぶ2人の名前を見てはニヤニヤしているキヨ。




「ねっ!!ねっ!!この婚姻届コピーして額縁に飾ろうよ」

「は?バカ言うな」

「だって提出しちゃったら手元からなくなっちゃう。婚姻届なんてもう二度と見れないよ?」

「一度きりしかないから大切だと思えるんだろ。何でも形にしたがるな」



言い方は素っ気ないけど、愛のこもったイノリの言葉。


キヨはイノリに微笑むと、突き抜ける程の青い空を見上げた。




「…ふふふふふ」



我慢してもつい漏れてしまう笑い声。



「いつまで笑ってんだよ!」

「だって、イノリ大好きなんだもん」




そう言ったらイノリは

「…じゃあ笑っとけ」

と言って笑った。





キヨが握り締めていた為、少しクシャクシャになってしまった婚姻届は無事に受理され

キヨは北山美月になった。






ケン、カンナ、カゼ。


私とイノリは無事に夫婦になったよ。
< 1 / 386 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop