続・祈りのいらない世界で
「祈あっちで遊びましょう。私、祈と2人がいい」

「は?でもキヨ…」



イノリがキヨを見ると、キヨは顔を膨らませていた。




「何拗ねてんだよ。ったく…。悪いな。俺、キヨと遊んでくるから」


「私が祈と遊ぶの!!こんな子、祈にはふさわしくない!!どっか行ってよ、邪魔しないで!!」



沙織に睨まれたキヨは、無言のままイノリの家から走り去った。




悔しい。
悲しい。

イノリは私のなのに…



そんな気持ちを抱えながらキヨは、カンナの家を訪れ沙織の話をした。




「何よその女。相当な性格ブスね。私達より2つ年上ならもう小6でしょ?大人げないわね」

「…イノリ…取られちゃうのかな…」



ぐすぐすと泣くキヨの頭を優しく撫でるカンナ。




「大丈夫よ、キヨ。私達が何とかしてあげる」



カンナはキヨの手を引きカゼとケンの元へ向かうと、4人は家の前で沙織対策会議を始めた。




「イノリんちの血筋って独占欲が強いのかな?」

「そうみたいね。ケンにしてはいいとこつくじゃない」

「ケンにしてはって何だよ!!それより俺、いい案思いついたんだけど♪」



3人はケンの意見に耳を傾ける。




「カゼを囮にすればよくない?カゼに惚れない女の子なんていないじゃん。そこを利用するんだよ」


ケンがそう言うとカンナはケンを叩いた。




「痛いよ!!大丈夫。カゼは惚れられても惚れない人だから、その女の子に惚れさせとけばいいって話で…」



小学4年生にしては惨い考えをするケン。




「でもイノリのことを好きな子がカゼを好きになるかな?イノリとカゼじゃまるっきりタイプが違うよ」

「………キヨの言うとおりだよ、ケン」

「えーっ、いい案だと思うんだけどなぁ」



4人が考え込んでいると、イノリと沙織がやって来た。




「はじめまして、北山沙織です♪あなた達祈の親友なんでしょ?仲良くしてね」



キヨの時と違い、フレンドリーな雰囲気を放つ沙織。


沙織はイノリと手を繋いでいた。
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