続・祈りのいらない世界で
「じゃあまた飯ん時な」

「そうね。ケンは浴場でハシャがないのよ?」

「わかってるよ!!」

「カゼは夜中にお菓子食べちゃ駄目だよ?」

「………気をつける」



キヨはカンナと共にクラスの部屋に入ると女子達に囲まれた。




「ねぇねぇ。明日の自由行動、やっぱりかんなと美月が風くん達と行動するの?」

「へ?まだ決めてないけど…」

「本当に?じゃあ私、風くん誘ってもいい?」

「えー!私も風くんと行動したい!!」

「私、北山くんがいい♪」



同じ部屋の女子達はカゼやイノリの取り合いを始めた。




「…すっかり忘れてた。自由行動、一緒に行動するつもりでいたけど約束はしてないし…」


「キヨ。今夜が勝負よ。明日の自由行動、キヨはイノリを、私はカゼを誘わなきゃ誰かに取られちゃうわ」


「ケンは?」


「ケンはいいのよ。それよりカゼとイノリよ」



少し酷い発言をするカンナ。


しかしキヨもイノリが誰かに先を越されて取られてしまわないか不安で、聞き流していた。





入浴を終え、夕食の広場へキヨとカンナが着くと既に席についているカゼが女の子達に群がられていた。



「風くん、明日一緒に自由行動過ごさない?」



どうやらみんな明日の自由行動が目当てらしい。


次々に言い寄られるカゼは席を立つと、カンナの元にやってきた。




「………カンナ。明日俺と回ろう」

「え?…私でいいの?」

「………うん。カンナといるのが1番落ち着く」



嬉しそうなカンナを見たキヨは、自分の事のように嬉しくなった。




「あんまり優しくすると泣くわよ?」

「………泣いたら俺の服で拭いてあげる」

「服って…。ハンカチくらい持ってなさいよ」



ラブラブな2人を見た女の子達は渋々自分達の席に戻っていった。


キヨが自分も頑張らないと、と思いイノリを探すが何処にもいない。




「カゼ、イノリは?」

「………イノリなら女の子に呼び止められてたよ。階段にいるんじゃないかな?」



カゼの言葉を聞いたキヨは階段へと走っていった。
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