続・祈りのいらない世界で
「…私はイノリにケンといろって言われたよ。だから私達の事は気にしなくていいから、カンナはカゼと2人で楽しんできて?カゼなら謝れば許してくれるよ」


「え?イノリは何考えてるのよ」


「俺は1人でいるからって……4人を大切に想うならケンといろって言われたの。…イノリは…自分よりケンや私の事を考えてくれて……」



キヨはカンナをキツく抱きしめると、声をあげて泣いた。




「うわぁぁん!!イノリといたいよぉ…冷たい人間だと思われても、他の人じゃなくてイノリといたかったよ!!」


「っ…キヨ。私も…キヨになってカゼに大切にされたいよ…。キヨみたいに優しい性格になりたいっ…」



キヨとカンナは抱き締め合いながら泣いた。



長年片思いをしている2人は、一向に叶いそうにない恋心が辛くて泣いた。




「キヨ。明日は私と2人で行動しない?たまには女2人でってのも悪くないでしょ?」



暫くして泣き止んだ2人は夕食を食べ損なった為、持ってきていたお菓子を食べながら話していた。



「でもカンナ、カゼはいいの?」

「いいのよ。男共も3人で行動するでしょ、その方が誰も傷付かないわ。5人で行動するのが1番だけどそうしたら、またイノリとカゼに変な気を遣わせちゃうだろうしね。…カゼには会った時に謝るわ」




片思いとは何故こんなにも切ないのだろうか。



よく両思いになった人が『片思いの時の方が楽しかった』と言うが、そんな事はない。



好きな人と想いが繋がっているのに、一方通行の想いの時の方が楽しいはずがない。



それは幸せに慣れてしまった人が欲張りになっただけのワガママであり、惚気でもある。



だって繋がらないこの想いは辛くて悲しい。


私なら、絶対両思いの方が楽しいと想うもの。




好きな人に好きだと言われて

自分も何も気にせず好きだと伝えられる。


触れたい時に好きなだけ触れられる。




でも片思いの恋は、一線を越える事は許されない。


それがもどかしい。
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