続・祈りのいらない世界で
…どうして?
どうしてそんな事言うの?


それはカゼの事を忘れろって事だよ?

カゼは私達の家族でしょ?



なのに、どうして…






「―――っあ!!」



キヨは首元を押さえるとその場に倒れた。

イノリは目を見開いてキヨを見る。




「おい!!どうした!?」

「…イノ…リっ……息が…」



苦しそうに薄く息をするキヨは震えながらイノリに手を伸ばす。




「俺が怒鳴りつけたからか!?ごめん…美月ごめんな!!」

「…ひっ……イノリっ…苦し…」

「――っ!!カンナっ!!カンナ美月が!!」



どうする事も出来ないイノリがカンナを呼ぶと、カンナは冷静にキヨの対処をした。



落ち着きを取り戻したキヨは静かに眠っている。





「…カンナ、美月はどうしたんだ?いきなり苦しみ出したけど」


「過呼吸よ。キヨが過呼吸になるなんて初めてね、何があったの?」


「俺が…ガキみてぇに嫉妬して怒鳴り散らしたんだ。…俺はいくつになっても変わらねぇな。美月を傷付けてばかりだ」



イノリは悲しそうにキヨを見つめると、眠っているキヨの手を握った。




「感情任せに怒鳴り散らすのはよくないわ。でもそれはキヨを想っているからこそでしょ?だから大丈夫よ。キヨもそれをわかっているハズだから」


「カンナは昔から大人だな。マジ助かった、ありがとな」


「いえいえ。キヨとイノリの為なら何でもするわよ。…それよりイノリ、キヨが目を覚ますまでそばにいてあげてね。それと過呼吸はクセになるから気を付けてあげて」



イノリが頷いたのを見たカンナはキヨの部屋から出て行った。
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