続・祈りのいらない世界で
その日1日

フウが苦しそうな声をあげるほどフウを力一杯抱きしめていたキヨは、イノリの帰りをまだかまだかと心待ちにしていた。




「たでーま。早く帰ってきてやったぞ」



夜になり、仕事から帰ってきたイノリが玄関で叫ぶがキヨはやって来ない。



不審に思いながらイノリがリビングに入ると、カーペットの上で並んで眠っているキヨとケン、フウがいた。

キヨとケンは手を繋いでいる。



「…ぐぁっ!!!!何!?何っ!?」



イノリに思いっきり腹を踏みつけられたケンが目を覚ますと、恐い程微笑んでいるイノリと目が合った。




「おかえり、イノリ。…って!!いきなり何すんだよ!!痛てぇだろ!!」


「…健斗くん。なんで俺の可愛い嫁さんと手を繋いで寝てるのかな?ん?」


「健斗くん!?…イノリ恐っ!!!!」


「うっせぇ!!美月に気安く触んな。そしてお前が1番におかえりって言うな!!1日が最悪で終わるだろーが!!!!」


「何だと!?今日1日キヨの子守りしてやったんだからな!!感謝しろよ」



ギャーギャー言い争う2人の声で目を覚ましたキヨ。


キヨは寝ぼけまなこの目でイノリを見る。




「…あぁ、おかえりイノリ。ご飯の支度するね」



寝ぼけているキヨはイノリに構うでもなく、キッチンに向かった。




「あれ?キヨ?イノリが帰ってきたら絶対泣いて抱きつくと思ってたのに」

「…ケン、美月に何かしたろ」

「へ?何かって何さ?」

「俺だって最近ご無沙汰なのに、テメェ昼間っから美月と何したんだよ!!」

「バカ言うな!!んな事するか!!俺は無実だ!!」



ケンの首を絞めながらバタバタと暴れているイノリ。


すると、キヨがドタドタとキッチンから走ってきた。




「うわぁぁぁん!!イノリおかえりなさいっ!!!!遅いよ〜」

「…やっと目が覚めたな」



抱きしめ合う2人をグッタリしながら見つめていたケン。


休み明けは被害を受ける人が多い。
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