続・祈りのいらない世界で

26・&

「美月ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫だよ。ありがとう、祭ちゃん」



出産予定日を2日後に迎えたキヨ。


キヨの陣痛がいつ来てもいいようにと、イノリの母とカゼの母がキヨ達の家に来ていた。




「わざわざごめんね。おじちゃん達に申し訳ない」


「いいのよ。祈がいない時に陣痛来たら美月ちゃん不安でしょ?ふうちゃんもいるのに」



イノリの母はソファに座っているキヨに温かいお茶の入った湯のみを渡すと、キヨの隣りに座った。




「美月ちゃん。健斗ちゃんもかんなちゃんも…仕事なの?美月ちゃんがずっとふうの面倒を見てるの?」



キヨ以外誰も家にいない事を不思議に思ったカゼの母が問う。



キヨはカンナとケンの現状を話すべきなのか迷ったが、余計な事は言わない事にした。



「…うん。2人共フウの為に働いてるの。そんな2人の為に私が出来ることは、これだけだから…。それにね…」



キヨはテレビの前に、ちょこんと座っているフウを抱き上げた。




「カゼは私の家族だから、フウは私の息子でもあるんだよ」

「美月ちゃんは変わらないね」

「え?子どもっぽいってこと?」

「昔と変わらず優しいってことよ」



カゼの母はニッコリと微笑む。
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