不要なモノは愛
変化するモノ
昼休み、雨が降りそうな空を見て、ふと思った。朝は青空が広がっていたのに、いつまのにか雲が広がっている。

女心と秋の空…。秋の空は変わりやすいけど、女心はそんなにも変わりやすいモノなのかな?

私には当てはまらないと思って、ベーグルサンドの美味しいカフェに入る。テイクアウトも出来るから、会社のデスクで食べる予定で買う。

12時半頃にクライアントから電話が入る予定になっているから、今日は電話待ちしながら食べよう。


「あ、小夏」


「え、あ…一樹と…」


「俺の名前、忘れた?」


「いえ、覚えてます」


覚えているけど、名前を口にしたくなかっただけだ。松野兄が眉間に皺を寄せたけど、気にしない。


「小夏、外で食べないの?」


「うん。今、ベーグルサンドを買ったから、会社に戻るところなの。じゃあね」


長々と立ち話している時間はないので、すぐに話を終わらせる。


「おい、待てよ。…これ、やる」


「え?あ、ありがとうございます」
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