美人モデルは最強姫⁉︎
電話の向こうでため息をついている。


「桜と別れてからずっとあんな感じなんだ。気絶した相手でもまだ殴って…俺たちの声も届かないことが多い」


(どうして…そんなこと…)


「そんな…でも!翔は…そんなことする人じゃ…」


そう信じたいけど、昼間の翔を見たせいで自信が持てない。


「前まではね。桜がいなくなったことで翔の心に大きな穴が空いたんだよ」


「………」


(私の…せい。また迷惑かけちゃった…)


「お願い!一刻も早く戻ってきて!」


「でも、そうしたら…モデルが…」


翔のところへ戻るなら、必然的に私は総長を選ぶことになる。


そうすればモデルの仕事は一生できない…。


「そう…だよね。モデルとしても桜を必要としてる人はたくさんいる…」


「俊…」


俊だって本当は翔を元に戻したくて私を必要としてる。


それでも、私の立場を理解して優しい言葉をかけてくれている。


それが伝わってくるから私まで少し辛い。


「でも、今の翔には桜が必要ってこともわかっていてくれないかな?」


「うん、わかった」

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