眠れぬ夜をあなたと
「ほら、かわいいよねぇ」

満足そうなケイがおかしくて、思わず笑いが零れた。

「自画自賛でしょ」

「えっ、ダメ? 美湖さん的にはかわいくない?」

焦るケイを尻目に、ニヤリと悪い表情を作って見せる。

「ちょっとうるさいけど。……ま、ユニークかも」

私がふとした瞬間にケイを思い出すみたいに、ケイも私を思い出してくれている。その事実が、胸の中を暖かくさせた。それを伝える気は無いけれど。

肩を竦めた私をケイは、意地悪だ、と背中から抱き抱えた。

その腕の温もりに、安堵の息が漏れる。


ケイは不機嫌でこわばりそうな私の中をスルリとかき混ぜて、心のこりをほぐしていく。

ひとりでいたら、海の底に沈んでしまいそうな、こんな夜でも。

今夜の私も、眠れるだろう。
ケイといっしょなら。



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