拝啓
幼少期

母の母、つまり私の祖母の入院している病院を訪ねた。
祖母は何でも思ったことを口にするキツイ性格で、母はあまり祖母とは上手くいってないことは生前から知っていたが、母を産んだ人だから、母がどんな子供だったのかを知っている人物だ。


私は病室に足を踏み入れると、祖母の声が聞こえた。
『あんた。点滴下手くそね!』

私は小さなため息をした。祖母は昔准看護婦で病院に勤めていた。
とても気の強い人だ。


私が恐る恐るカーテンを少し開けると、私に気付きご機嫌になった。

『あら!華澄!いらっしゃい。』

私とスレ違う若い看護士に私はすまなさそうに会釈をした。
祖母はまだブツブツ文句を言っていたが、私に手招きした。
私はベッドの横に置かれた椅子に座って声をかけた。


『ママの遺品整理とかして来るの遅くなってゴメンね。』


祖母は大きく溜め息をついて答えた。
『親より早く死ぬなんて最大の親不孝だわ。』


私はその祖母の言葉を聞き流して、聞きたかった母の事を話始めた。

『その事なんだけど、ママってどんな子供時代だったの?』
私の質問で祖母は口をつぐみ私をジッと見つめた。
どのくらい時間が経っただろう。
祖母がポツリポツリと母の事を話始めた。


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