拝啓
エピローグ 冬也

彩佳が入院していたとき、冬也は時間の都合が有る限り病院に来ていた。
彩佳は冬也と一緒の時は不思議と意識がハッキリしていた。
冬也は彩佳を病院の屋上に連れていって星や月を見て話をしていた。

彩佳は本当に穏やかでよく笑い、冬也の子供達の話を聞きたがり、冬也が話すと嬉しそうに聞き入っていた。
そして、必ず最後に冬也に訪ねた。


『冬。今幸せだよね?』


冬也は優しく笑い答えた。

『うん。俺は大丈夫だよ。彩佳は?』

彩佳は優しく頷いた。

しかし、時間は残酷だった。
やがて冬也が来ても、意識が混濁し始めた。

彩佳は冬也に泣きそうな声で聞いてきた。
『冬は何処に居るの?冬は幸せにしてる?知ってたら教えて欲しい。』


そして、とうとう彩佳が夢の中の住人になったとき、冬也は一人の看護師から手紙を受け取った。


彩佳からの手紙だった。
彩佳が眠るベッドの横で冬也は手紙を読んだ。


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