みんなの冷蔵庫(仮)2
ちよみ&トキオ
電車に揺られながら、トキちゃんと初めて会った日の事を思い出していた。

あの夜アパートのすぐ側で、小雨の降る中トキちゃんはただ立っていた。

私が近付いても、伏せた目を少し上げただけで動かなくて。


雨に打たれてぐっしょり濡れた金髪が、長い時間そこにいたことを物語っていた。

男としてというよりも、
まだ幼い弟達に対する感情に近い

子供の時捨てられた犬猫をつい拾ってしまっていた時の感情みたいな

そんな母性本能が大部分を占める感情に、私は背中を押された。


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