みんなの冷蔵庫(仮)2
「じゃ、開けましょうか『冷蔵庫』を。私もこれ、初めての試みなんです」


ナメクジは口角を思いきりつり上げた。


「初めて? 大丈夫なのか?」


京極が強い口調でそう言い、より庇うように私の右肩に手を乗せ後ろに引き寄せた。

肘からナメクジの指が離れ、それは固まったように空中で停止している。


離れると少し勿体ないというか……名残惜しいというか。

怖かったはずなのに、なぜか寂しく思ってしまう自分に違和感を覚える。


そしてその説明のつかない不思議な感情が、また怖い。


「大丈夫ですよ、多分。それに私もあなたと力を分けたという、もう一人の方に是非お会いしたい」


ナメクジは微笑みながら答え、また私の肘に手を添えた。
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