【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
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 小石で傷ついた顔はもちろん瞬時に治っているので問題はないが、左腕はなかなか回復しなかった。

物騒な怪我をしたまま学校には行けないので、まだ記憶操作は解けない。


「結構いかれちゃってるわね……こりゃしばらく痛いわよ」


怪我の状態を見ながら、美喜が顔をしかめた。

風で吹き飛ばされた影響で肋も折れていたらしい。

海松に包帯を巻き直してもらい、服を着る。

当分は締め付けの強い着物は着られない。

うう、と唸りながらゆっくりと身に付けていく。


「あんな無茶するからですよ。朱音様を煽るから」


「はい……」


「はい、できたわよ」


「ありがと、痛あっ!!」


傷をパシンと美喜に叩かれて呻く。


「何するの美喜~…」


「罰だと思って痛がってなさい。さんざっぱら皆に怒られたんだろうけど」


ふふん、と美人な顔で不敵に笑ってから立ち上がる。


「私は海松とご飯作ってくるから。そのうち警護も来るだろうけど、それまでここにいるのよ。まだ完璧に安全ってわけじゃないんだから」


「分かった。美喜いつの間に海松ちゃんと仲良くなったの?」


呼び捨てなんて、と少し拗ねながら尋ねる。
 
別に呼び捨てたいわけではないが、何だか妬けてしまう。

二人の仲が殊更に深まったようで。


「あんたの世話とかしてりゃ仲良くもなるわよ」


ねぇ、と美喜が呼びかけると海松も頷く。

少し嬉しそうに見えてしまうのは何故だろうか。


「そう、私が寝てる間に二人はお喋りしてるのね」


怪我の治りが遅いので寝ていることが多い露李は、いじけて畳を指でくるくるする。

困った海松が頬に手をあてて美喜と目配せした。


「露李様も今日から復帰なんですから。元気出してください」


「だって」


「だってもへったくれもない!海松を困らせないの!ほら行くわよ、露李独占してたら煩いやつが山ほどいるんだからここ」


にべもなく美喜は海松を引っ張ってスタスタと出て行き、また一人になる。

することがないので教科書を見て予習したり、考え事をしたり。


このところ毎日そんな感じで、飽き飽きしていた。


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