アタシはイレモノ
「そうなんだ……」


「うん」


頷く川上君。


これ以上、あたしがいう事はなにもない。


亜耶が川上君を好きかどうかはわからないし、頑張れと応援するのも違う。


「古川さんは、好きな人がいる?」


そう聞かれてあたしも素直に頷いた。


「いるよ」


「誰?」


「川上君」


そう言うと、目の前の川上君は少し目を見開き、そして戸惑ったように視線を泳がせた。


あぁ……。


それだけでもう十分だ。


あたしの告白で少しでも反応を見せてくれた。


それだけで、あたしは嬉しかった。


川上君は亜耶が好き。


だからあたしの気持ちを受け入れる事は決してない。


それなのに、動揺してくれた。


気が付けばあたしはほほ笑んでいた。
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