私を思って
―かけるside―

五歳の頃


当たり前だった日々が180°回転した


兄のあゆむが倒れた


病院での検査の結果は、現代の医療では治すことの出来ない病気だと宣言された



俺は、その言葉の意味を曖昧にしか理解できず、毎日苦しそうにしているあゆむの姿を見て泣くことしか出来なかった




ある日、病院の中庭のベンチでいつものように泣いている俺の横に一人の医者が座った




慰めの言葉ならもういらない
そう思っていたのだが、その医者は何も喋らない




俺の方から「なんで医者になったの?」
と、唐突な質問を投げかけた



すると、その医者は「最愛の人を病気でなくしたからだよ」と言った



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