【超短編 14】夢落ち
 最後に切りに行ったのは、いつのことだっただろう。半年以上前の冬だったかもしれない。長髪になる一歩手前の長さにうんざりして、坊主の一歩手前まで短くした。
 あの時行った美容院の女の子はかわいかった。確か名前は美幸といって小柄な感じで大人しめの女の子だ。スキューバーの資格を持っていて毎年夏になると沖縄に行っているとか話していた気がする。
 ちょうど今の時期は彼女は真っ黒に日焼けをしているかもしれない。でも美容師にそんな休みを取ることはできないだろう。それにあまり日に焼けすぎると水仕事には堪えそうだ。
 僕は彼女と二人で沖縄の海に潜っているところを想像して、また湯船の中に頭ごと沈めた。
沖縄の海はこれくらい温かいのだろうか。沖縄に行ったことがない僕にはよくわからないけど、お風呂ほどの温度があってものぼせたりしないはずだ。それとも深海のほうは水温が低いのかもしれない。
お風呂の床まで頭を下げようとしたがバスタブが狭くてそれはできなかった。栓を抜きながらシャワーのコックをひねり、髪の毛と体を洗って部屋に戻る。
明日は休みだし、あの美容院にでも行ってみるのもいいかもしれない。彼女の肌がまだ黒くなかったら、旅行に誘うのもいいだろう。
ドライヤーで髪を乾かしてスーツに着替えた僕は朝のニュースを見るためにテレビをつけた。
それらしい情報はまだ流れていない。
友人の死体も明日片付けよう。
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