〜はどちらを選ぶだろう・・・あなたはどちらを選ぶ!?
『希望』
私の名はマユード。



ここは"魔神殿"と呼ばれる

大魔術師"バイオレ"が

住んでいる所。

ここでは日々、新しい"魔法"が

創られていた。



バイオレの力は強大で

国王ですら、

言いなりになっている。



魔法とは精神力で創りだす、

"想像"と"現実"の間のもの。

いまや同じレベルの

"戦士"と"魔法使い"では

戦士は勝てないとまで

言われているほどだ。



そうなったのは、

魔法開発の"実験"の成果

であると言われている。





バイオレは部下を使い、

村人や町人を力ずくで連行し、

ここ魔神殿で、

新しい魔法開発の

"実験台"として使っている!

国王もそれに、見て見ぬふり・・・



魔神殿の裏門は

死体の山で、

うめつくされていた・・・





実は私もかつて

そこに捨てられた、

一人であった!!





生れついての

頑丈な体のせいもあって、
奇跡的に死なずに済んだ。



体中に

魔法を浴びせられながらも・・・





フラフラと死体の山から

はい出た私は

当てもなく、歩きだした。

バイオレやその部下たちも

まさか生きているものが

いるとは思わず、

魔神殿から出るのは、

意外に簡単だった。





金もなく、腹を空かして

うずくまっていると、

一人の少女がやってきた。



私の様子を見て、

パンケーキを用意してくれた。





満腹になり、

横になろうとすると

その少女は家に招いてくれた。



聞くと少女は

両親とも、バイオレに

連れ去られてしまって、

いまはこの家に

一人で暮らしているのだという。

何かお礼がしたいと告げると、

「両親をいっしょに

捜してほしい・・・」と

しかし・・・

おそらく・・・確実に・・・

もう両親は

生きてはいないだろう。

「私はそこから来た」

そう告げた。そして

生きて出たものは

誰もいないんだと・・・。

しかし少女は

泣く事もなく、

私の手を握ってきた。

「本当はわかっていたの。

もう、生きていないって・・・

でも、もしかしたらって・・・





お願い、カタキをとって!!」





私は魔法使いではない。

ただ体が、

人より頑丈なだけ。

私には何の力もない。



「ごめんよ・・・」

少女は微笑んだ。

私の答えも

わかっていたかのように・・・。

するとベッドへ案内してくれ、

休むようにと言ってくれた。

部屋を出る少女の背中は、

泣いているように

見えた・・・





何時間眠っていたのだろう。

ベッドで眠れたのは

いつ以来かも覚えていない。

窓の外はまだ、

暗かった。

もう少し眠ろうとすると、

部屋の外から、

悲鳴が聞こえた!





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