あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
 

 あたしたちは、互いに天力と魔力を使い、手錠を構成して男につけるとウェズリアへと転送した。

 これで無事に捕らえられただろう。

 さてと、本題はここからだ。


「クコ、大丈夫?」

「は、い……」

「クレアも」

「ご迷惑をおかけして、すみません」

「大丈夫だよ。だってあの人、天力使ってたから、いくらあたしでも対抗できないし。お礼ならルクレーシャにいって」

「はい……」

「ありがとうございます、ルクレーシャ様」

 クレアがルクレーシャに向き合って深々と礼をすると、「いいのよ」と、彼女は優雅に尻尾を振って答えた。


「それで?クレア、どうしてあの男に捕まったのか、覚えてる?」


 声音を変えたあたしに一瞬驚きの表情を見せたクレアは、コクリと小さく頷く。


「私たちは、先に転送魔法陣で〈千年霊木〉にたどり着きました。そして、まおさんたちが来るまでに、少し辺りを散策しておこう、ということになったんです。私たちは固まって行動していました。けれど……」

「けれど?」

 
 クレアはギュッと手を握りしめた。


「ヘンな音がしたんです。キイィーン、って耳鳴りのような」

「ヘンな音?」

「はい。実は私には聞こえなかったんですが、ショウたちが言ってて」

「ショウたちが!?」

「はい。で、突然ショウとシュガーが苦しそうに顔を歪めて……」


 それって……。

 イヤな予感が胸に広がっていく。


「でも、すぐに止んだみたいで、二人とも大丈夫って言ってたんです。そしたら……ガンッて頭に重い衝撃があって……意識を失っちゃったんです。だから、二人はどうなったのか、わかりません」

「ごめんなさい」とクレアは頭を下げる。

「いや、いいの」



 
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