天使が舞い降りたら…。
天使と悪魔


「ちょっとどうゆう事よ?」



学校に向かう登校の波の中で、私は立ち止まって大島さんの話を聞いていた。



「天使の大島さんの奥さんが悪魔だなんて…。」



大島さんは、私の手のひらの上に降りると羽根を閉じて座り込んだ。



「元々は嫁はんも天使やったんや。」



「天使から悪魔に…。」



「今から、500年程前。ワシら夫婦は仲良く世田谷に住んでいたんや。」



奥多摩じゃないんだ…。



「それがある日、ちょうど世は戦国時代でな。織田信長が攻めて来たんや。」



「お、織田信長!?」



「見事にやられたワシら天使軍は、織田信長の家来になったんや。」



「大島さんって天使なのに織田信長の家来だったの?」



「それから時が流れて、平成の世になって、嫁はんは天使としてやってはいけない事をしたんや。」



「天使としてやってはいけない事…。」



「そうや…。」



「それって…。」



天使が悪魔に代わるって相当な犯罪?法を犯したって事だよね…。



「ワシの嫁はんはな…。」



「キャサリンちゃんは…。」



ゴクリ。


息を飲む。


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