溺れる蝶
出逢い
「2年はそこにイス出して!あとマイクも!」

私が指示を出してやっと後輩が動き始めた。
私達の指示がないと動けない後輩。
そろそろしっかりして貰いたいものだ。

「お前ら、集まれー!入学式のリハーサル始めるぞー!!」

八代先生からの声がかかり、入学式のリハーサルが始まった。

とはいっても、私達は入学式の準備と後片付け、それと校歌の紹介をするだけ。

リハーサルなんてすぐ終わる。




「お疲れ様でした〜っ!!!!」

リハーサルが終わった途端、みんな我先にと体育館を出た。

「桜子、お前もう帰るんだろ?」

唐突に舜に声をかけられた。

「うん。そーだけど……」
「もう暗いし、気を付けて帰れよな」
「そんなことわかってるって」
「お前は本当に可愛くねぇな!」
「そりゃどーも」

私が憎まれ口を言うと、舜は少しムッとした様子で私の頭をポコッと叩いた。

「いったーい!!……最低。舜の馬鹿。1回死んどけ」
「口が悪りぃからモテねぇんだよ。お前、そこそこ顔かわいーのに」
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