EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「間に合わないし、面倒だった」

「まあ、確かにね」

頷いたものの、静理は微笑みながら非難がましく言った。

「でもだからって見て見ぬ振りだなんて…。フェオは冷淡だね」

「……人間嫌いのお前に言われたくない」

「フフ、言われてしまったね」

胡散臭い静理の笑みを横目にフェオドールは椅子から立ち上がった。

そのままドアへ向かう彼を静理が呼び止める。

「どこへ?」

「出掛ける」

「仕事サボって、また例の吹き溜まりに?白魔から軽蔑されるよ?」

「構わない。今に始まったことじゃないから」

それだけ言って出て行こうとしたフェオドールだったが、ふと思い出した。


「ああ、そうだ。白魔がマドモアゼルに例の薬を飲ませてた」

「例の薬って……まさかオーレリアンが調合した、アレ…?」

「そう。あと数時間は薬が抜けないだろう」

言い終わるとフェオドールは今度こそ部屋を後にした。






< 75 / 505 >

この作品をシェア

pagetop