精一杯の背伸びを






 私が来たことで、空気が張り詰めた。


 みんな、どうするべきか困惑している。


 何を言うべきかと。


 お母さん以外。




「ごめんなさいね~。佳苗さん。しつけができてなくて。本当にどうしようもない子なの。夕食の手伝いを佳苗さんに押しつけて部屋で寝てるんだから」




 お母さんの晴れやかな声で、張り詰めた空気が澱んだ。


 お母さんは気にせず続ける。




「佳苗さんは、小春のことご存知だったの?」




 自分に話題を振られたことに驚いて、彼女はバネのように、飛び上がった。




「あ、は、はい。そうなんです。仁の家で。小春さん、すごくお料理が上手でびっくりしました。仁がいつも小春さんのこと自慢するのも頷けます」




 佳苗さんは首をぶんぶん縦に振る。
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