精一杯の背伸びを





 何に乗ろうか。


 パレードはどうする。


 そんなことを話していたら、突然彼の名前を呼ばれた。



「三原?」



 仁くんは声がしたほうに目をやる。



「斉藤?こんなところで何してんだよ?」



 二人して面を食らったような顔をした。


 こんなところで知り合いに会えば当然か。


 斉藤さんの隣にいる、女性と目が合いお互いに微笑む。



「斉藤とは会社の同僚なんだ。えっと、彼女は」



 仁くんがそう言うと、その言葉を斉藤さんが引き継ぎ、隣にいる女性を紹介した。



「で、こっちは俺の彼女」



 はじめまして、と女性と仁くんが互いに会釈をする。



「へぇ~。今まで紹介してくれなかったのは、綺麗な彼女を見せたくなかったわけだ。意外と心が狭い」



 仁くんは悪戯な笑みを浮かべて斉藤さんと彼女さんを見る。



「そんな可愛い子連れて歩いているお前に言われたくないな」



 そう言って斉藤さんは私に目を向ける。


 私は子供っぽく見えないように細心の注意を図りながら椅子から立ち、自己紹介した。



「水野小春と言います。三原さんとは幼馴染なんです」



 口調も態度も自分では上出来だった。



「小春。三原さんなんて言われると気味が悪い」



 せっかく仁くんが恥ずかしい思いをしないように精一杯、礼儀正しくしたのに。


 彼を睨みつける。




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