イケメン弁護士の求愛宣言!
偶然の出会い
「で? 由依子(ゆいこ)ちゃんて、彼氏いない歴何年目?」

むせ返るタバコの臭い。

そして、鼻につくキツイ香水の香りは、色っぽいというより、安物の臭いで気分が悪い。

チャラチャラとした締まりのない顔のコイツ……なんて名前だったっけ?

この二時間、全然側にいなかったのに、終わり間近になって隣にやって来られても、まるで印象に残っていない。

だけど相手は、私の名前を分かってるみたいだ……。

コンパ開始すぐに自己紹介をしたはずなのに、こちらは忘れてしまっていた。

「えっと……、四年かな?」

できれば、この話はしたくない。

思いださせないで、そっとしておいてほしいのに。

そう思っているからか、引きつった笑顔を向けるので精いっぱいだ。

「えー? じゃあ、ずいぶん長い間フリーなんだ? 寂しくない?」

「ううん。全然。仕事を転職したばかりだから、それどころじゃないし」

なんて言うのはウソで、本当は彼氏が欲しい。

だけど、好きになれる人がいないのと、どうしても及び腰になってしまい、恋愛ができないでいた。
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