イケメン弁護士の求愛宣言!
「え? 跡取り息子……?」

言われてみれば、たしかにそう聞いていた気がするけれど、まるで興味がなくて、戻ってくる日なんてすっかり忘れていた。

まだまだ先のことだと勘違いしていた私が、デスクで呆然としていると、耶恵さんは呆れたようにため息をついたのだった。

「由依子ちゃんてば、のんきなんだから。実はこの先生のなかで、内野先生の息子さんを直接知っているのは、来島(くるしま)先生だけなのよ。だから、みんな緊張してるの」

「そうなんですか。でも、なんで先生方がそんな緊張を……?」

普段は自信満々の弁護士先生たちを、ここまで動揺させる息子さんて、いったいどういう人なんだろう。

不思議に思って首をかしげると、耶恵さんが急に声をひそめて言った

「だって、いずれは大先生の跡を継ぐわけだし、かなり優秀な弁護士らしいから。唯一、来島先生は息子さんと司法修習時代からの友人らしくて、まるで緊張はしていないみたいだけどね」

「へえ……。そういうことですか」

加えてイケメンらしいし、昨夜会った真斗さんみたいな人が、ここにもいるらしい。

弁護士という仕事も、人脈や営業力が必要になる場合もあるから、力のある事務所に入りたがる人が多い。

それならこの事務所はピカイチだから、みんなここに居続けたいと思うはずだ。

「そう考えたら、その息子さんの帰国も、いいのか悪いのか分かりませんね」

そう言った私の背後から、押し殺すように笑う声が聞こえてきた。
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