恋が都合よく落ちてるわけない
「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

「何が?親父のこと?」

「はい…」

「ふーん。何で気にするの?」

それは難しい質問だ。
気にしてないと言えば、
嘘になるし。

気にしていると言えば、
須田さんとの将来を考えてるから
彼の親のことが気になると
答えてしまう。


「付き合ってる人の両親に、
良く思われたいのは、
何も特別なことじゃないでしょ」

それに、深雪さんなら、
完璧にその役目を果たしたでしょうから。

「まあ、
そんなに気にしなくていいんじゃないの」

とにかく、服を着て、挨拶にいかなきゃ

二人とも服を着たところで、
ドアベルが鳴った。


「仁志、起きたか?」


「何だ?」


「まだ、何も食べとらんだろう?」


「そうだけど…」


「上に食べに来ないかね」


須田さんは、一応、
私にも了解を得るように顔を見た。


「わかった。二人で行くから」


ドア越しにチラッと見えた
お父さんは、息子とは似ていず、
こじんまりとした可愛い人だった。


ドアが閉まったあと、
須田さんが笑い転げる。


「気になって
仕方がなかったんだろうな。
待ちきれずにとうとう降りてきたな」


「やっぱりもっと早く行くべきだった?」



「いいさ、カレンダーに
丸する時間は、充分あっただろうから」


「何の話?」


「何でもない」


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