~Still~
第一章

城田エレナ・女優@アメリカ

「チッ!」

この、クソガキ共。

城田エレナは舌打ちしながら、雑居ビルの狭い階段で足を止めた。

制服のネクタイをだらしなく緩め、タバコを吸いながら階段を占拠している、3人の男子高校生。

その頭髪は色とりどりで、エレナはわずかに眼を細めると、盛大に溜め息をついてハイヒールの踵を床に打ち鳴らした。

不良高校生め、どきやがれ!

カツンと乾いた音が響いたが、彼らの弾けるような笑い声にかき消され、エレナの存在に気付く者は誰ひとりとしていなかった。

……重い。

エレナが持って降りようとしている、段ボール箱の中身は大量の服で、この雑居ビルの一階にオープンしたばかりの服屋『ジュリエット』の商品である。
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