恋のデザインは色鮮やかに。
「ナルは…、会社の中に犯人はいないって頑なに否定してた。
USBをきちんと管理できていなかった自分のせいだって。

裏切るような真似しやがって」


レイさんがナルさんを守れば守るほど、私の中の黒い感情が激しく波打つ。


「俺が伊藤に嫌われるのは構わないっていうか…。

伊藤が俺の担当だった時に、従わなかったのも、仕事をしなかったのも事実だ。
復讐してやると思われても、仕方ないんだけど…」


「違います!」


ついにあげてしまった声は、自分でも驚くほど部屋に響いた。


「私は…仕事も上手くこなせなくて、気も利かなくて、レイさんの担当も満足にできなくて…。

レイさんにはわからないでしょ?
何やっても駄目な人の気持ちとか、どんなに頑張っても報われない人の気持ちとか!


今回だって、私と同じでレイさんの担当を勤められる人じゃないと思いました。
なのに…。

新人のナルさんは、レイさんと上手く関係を築いていって、仕事もできて。
羨ましく思いました。


でも同時に、いなくなればいいのにとも思いました」


もはや、自分がどれほど酷いことを口にしているのかもわからくなってきた。
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