俺たちの妹・2
「泣かない泣かない。誰もみぃちゃんの事邪魔な存在だなんて思ったりしないから」


いっくんは私が言葉に出来ない思いを汲み取ってくれて驚いた。


思わず見上げると


「俺の妹も喘息持ってて、発作を起こす度に良く俺に当たってたんだよね。
だからみぃちゃんが声に出さない気持ちも大体は分かるよ。
誰も迷惑だなんて思ってないから。
みぃちゃんが元気になる事を願ってるんだからね」


いっくんの優しい言葉に涙が溢れた。

「ほらほら、泣かないの。泣いたらまた苦しくなるよ?」

いっくんは私の背中を優しくさすってくれた。


暫くすると気持ちも落ち着いてきた。

「また後で様子見に来るからね」


いっくんは他の患者さんの容体が良くなくて、呼ばれていなくなった。







私の周りには優しい人が多すぎる………

こんな私、疎まれても仕方ないのに……


それでもみんなの側に居たくて、私は城之内美晴として生まれてきて良かったと思った。


そう思うと今まで自分の中で抱えていたネガティブな思いがスッと消えていった気がした。


あぁ……私、みんなに色々迷惑かける存在で、いつ邪魔な存在に変わるのか怖かったんだ。


でもずっと長い間付き合いのなかったいっくんに私の心を読まれて、私だけがこんな思いを抱えてるんじゃないんだと知れて安心したのかな……



だけど、自分の気持ちがスッキリしたからといって、体調がすぐに良くなる訳じゃなくて……


発作は繰り返すし、熱は下がらないし散々だった………


いっくんもつーくんと色々手を尽くしてくれたんだけど、私の体力もだんだん落ちていって……

ようやく熱が下がった頃には自分で起き上がる事がままならなくなっていたんだけど、いつまでもICUに居る事も申し訳なくて、いっくんとつーくんにお願いして、いつもの部屋に戻してもらった。


2人はいい顔しなかったけど、葵と会うにはいつもの部屋じゃないと会えないしね……
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