俺たちの妹・2
美晴は、意識が戻るまで、ICUで様子を見ることになった。

「今までの検診での数字の悪さが、大発作に繋がったのか……発作、久しぶりだったからな。みぃも葵も怖かっただろうな……」

「兄貴と葵の兄の湊に連絡してるから、葵には2人が付いててくれてると思います」

「彼方がそばに居てくれるなら安心だな」

小林先生はホッと息を吐いた。


「日向」

突然呼ばれて振り返ると、兄貴が処置室の扉の前に立っていた。

「みぃ、どんな状態?」

「意識混濁、発作は30分以上続いてた。チアノーゼも出始めてて、挿管したんだ」

俺が答えようとしたら、司さんが答えてくれた。

「そんな状態なら挿管した方がいいよな……ありがとう」

兄貴は、お礼を言って美晴のそばに戻った。

「彼方は自分が出来ることをわきまえているな…」

司さんは、兄貴の背中を見ながら呟いた。

「兄貴は、医者を辞めてからの方が、美晴が辛い時そばに居れる様になったって嬉しそうですよ」

「確かに医者じゃずっと側に居るのは難しいよな……」

「一緒に暮らしてないと、なかなか会えないし、どうしても仕事優先になっちゃいますもんね……」

医者の気持ちも分かってる兄貴だから、俺たちに対してとやかくは言わない。

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