俺たちの妹・2
「………分かった。ちょっとごめんね」

そう言い終えてから、ひょいっと抱き上げられた。

「俺じゃ不満だろうけど、ここで戻しちゃったら嫌でしょ?」

そう言って、トイレまで運んでくれた。


医学部の生徒さんだけあって、体調不良の人への対応が自然だった。


「もう我慢しなくていいよ……」

その言葉を聞いた途端、吐き気がさらに込み上げてきて……



ケホケホ……ケホケホ……ハァハァ

オェ…オェェ……


一気に戻してしまった。

「全部出していいよ」

優しい楓くんの声に、甘えてしまった……

ほんとはダメなのに………


ごめんね、楓くん………

ズルズルと体が沈むのが分かる………


「おっと……力尽きちゃったかな……」

楓くんは、沈んでいく私の体を受け止めてくれた。
< 83 / 612 >

この作品をシェア

pagetop