俺様社長の飼い猫
しばらく泣いていたが、ようやく泣き止む事ができ、…ハッと、我に返り、紫音から離れようとした。

しかし、紫音は、私を離そうとはしなかった。

「…ごめんなさい。スーツが」

涙で汚れてしまった。

「…気にするな。…それより、少し落ち着いたようだな」

そう言って、紫音は優しい笑みを浮かべた。

「…ありがとうございました。紫音さんのおかげで、落ち着きました」

「…いや、オレは何も。…スズ」
「…はい?」

「…泣いてた理由を聞いたら、ダメか?」

その言葉に、何度も首を振った。

紫音に、迷惑はかけたくない。

そう思うと、言えなかった。

「…そうか。そうだよな…

それより、少し外に出ないか?ずっと家の中にいるから、変な事を考えるんだ。

気分転換に行くぞ」

気乗りしない私の手を引いて、紫音は駐車場に降りた。
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