俺様社長の飼い猫
「…これは、本心だ。スズを傷つけた事、悔やんでも悔やみきれない。自分が許せない」

「…柏木部長」

「…それにこれは、スズの為だけじゃない」
「…どういう事ですか?」

「…ありもしない噂をでっち上げて、社長を失脚させるつもりなんだ、副社長が社長に就任する為に」

「そんな…」

「社長が好きなら、離れてやれ。東郷社長が社長でいられるように、スズが出来ることは、それくらいだろ?」

…確かに、柏木部長の言う通りだ。私に出来ることなんてそれくらいしかない。

「今ならまだ、お前のとこの部長に頼んで、一身上の都合で、辞めさせてやれる。よその会社に移るなら、面倒も見てやれる。変な烙印を押される前に、ここを辞めろ」

「…少し」
「…」

「…考えさせてください」
「…わかった。でも、今週中には答えを出せ。今週末には、副社長が動きそうだから」

「一つ聞いてもいいですか?」
「…なんだ?」

「どうして、私にそれを教えてくれたんですか?」

「…罪滅ぼしだよ。スズへの…」

私はそれ以上何も言わず、柏木部長に頭を下げた。
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