午前0時の恋人契約
3.テ ト テ ツナイデ





“彼”と過ごすにあたって、大きなルールは5つ。



1.期間は10日間。

2.恋人として過ごすのは19時から0時までの5時間のみ。

3.ハグ以上のボディタッチは禁止

4.会社、他人には一切内緒

5.デートの際にかかる費用は後日一括請求



それらの、いたって簡単なルールを守り過ごすだけ。きっと、難しいことじゃないはず。

……相手が、彼じゃなければ。







よく晴れた朝、出勤してきた会社の女子トイレで、鏡に映る自分の顔を見る。

そこに映るのは薄い化粧を施した、決して大きくない目と高くもない鼻、小さめの口、といつも通り地味な顔立ち。



そう、いつも通りだ。

……寝不足で疲れ切った、真っ赤な目とシワをのぞいては。



「……全然眠れなかった……」



昨日はあれから、岬課長とすぐに別れそのまま寄り道もせず帰宅した。

けど、あまりにも衝撃的すぎて頭は受け入れられず……どうしよう、なんで、そうあれこれ考えるうちにろくに寝ることもできず朝を迎えてしまった。



夢……じゃ、ないよね。むしろ、夢だったらどんなにいいだろうか。

だってまさか、よりによってあの、岬課長がレンタル彼氏をしているなんて……!!



他に人のいないトイレの中、ポケットから取り出した名刺には『岬 貴人』の名前。


< 30 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop