キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


どのぐらい経っただろうか。
時間にしたら経った数分だと思うけど、途轍もなく長く感じた。



「帰ろう、サチ」



そう言って、手を差し出すシュウ。

その手に自分の手をそっと重ねた。


ドキドキする。
半歩前を歩くシュウ。
今はとてもじゃないけど隣りを歩けない。

顔は真っ赤に染まってるし、きっと私の激しい心臓の音がシュウに聞こえてしまうから。


シュウ。私、シュウが好きだよ。
世界で一番、シュウが大事。

こんなこと私が突然言ったら、シュウはどうするかな。

照れて顔を真っ赤にする?
それとも、目を細めて嬉しそうに微笑んでくれる?

シュウの気持ちを教えてくれる?

前を歩くシュウの背中に頭の中で問いかけた。




この時、なんで私は声に出してシュウに気持ちを伝えなかったんだろう。


思ってるだけじゃ伝わらない。

言葉にしなければ意味がないのに。


シュウとちゃんと向かい合って、目を合わせて言えば良かった。

私の気持ちを伝えた時のシュウの表情を見たかった。



< 116 / 180 >

この作品をシェア

pagetop