キミノカケラ〜群青色の空と君と〜

◇◆◇


「シュウー‼︎」



シュウの職場の前で待つ事15分。

定時を少し過ぎた頃、シュウが出てくると、私は手を振りながらシュウの元へ駆け寄った。

私に気付いたシュウは疲れが滲む表情から一転、目を細めて優しく微笑んだ。



「迎えに来てくれたんだ」


「うん、近くの本屋に行ってたの。そろそろシュウの仕事終わる時間だなーって思って」


「そっか。さんきゅ」



そう言って、頭をポンポンと撫でてくれるシュウ。

それが嬉しくて私は、えへへ、と照れ笑いを浮かべた。



「ねぇ!これ見て!」


「ん?」



私は持っていた本屋の袋からさっき買った本を取り出すと、「じゃじゃーん!」と顔の前にそれを掲げた。



「熱海?」



シュウは首を傾げる。
今一理解していない様子だ。



「そう!熱海温泉!行こうよ、旅行!哲二さんと菜摘さんと四人で」





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