キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
群青色の空と君と

◇◆◇


数ヶ月前まで毎日のように通ってた商店街。

元気な八百屋のおじさん、井戸端会議をする主婦達、学校帰りの元気な小中学生。

何にも変わってない街の姿に、少しだけホッとする私。



この商店街を抜けた所にある時計広場。
入り口が小さく見えてきて、少しだけ心が躍る。

今日は音楽が聞こえない。
誰も歌ってないのだろうか。
特に変に思う事なく、広場を目指した。



「……噓でしょ」



時計広場に入るなり、私は愕然とした。

静かな時計広場。
静かとは言っても、子供達は元気に走り回っていて、ベンチには杖を突いたお爺さんが座って休んでいる。

その辺の公園と何ら変わらない風景がそこにはあった。


“静か”というのはそういうことではなく、私が知ってる時計広場ではなくなったということだ。

ストリートダンスを踊る人もいない。
ギター片手に弾き語ってる人もいない。
大道芸をする人もいない。
当時の私みたいに自由に惹かれてここを訪れたような人もいない。

掲示板には、以前は見られなかった注意書きが貼ってある。警察が貼ったものだろう。

ダンス、歌、ギター等の迷惑行為を禁ずる内容がそこには書かれていた。


取り締まられたんだ。
だから、当時の仲間達はここに来なくなった。

数ヶ月来ないうちに、ここは全く知らない世界に変わってしまったんだ。



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