一途な恋がしてみたい


幼なじみと出逢ったところで、とサクヤ先輩が今日の部活は無しと言って、家に帰る事にした。
優美は、テニス部があると言ってたから、私は先に帰る事にした。
すると、

「茉央、家お隣なんだしさー、一緒に帰ろうぜ?」

私は、ちょっとためらいつつも、一緒に帰る事にした。

「何年ぶりだろう、な」

重い空気が漂う。

「…」

私は何の言葉も発さない。

「なぁ茉央、怒ってる?よな…」

「…。」

亮は困ったように頭を掻く。
昔からそのくせは変わらないみたい。

「茉央。
3年前は、、その、、
勝手にいなくなってごめんな?」

「…今さら…おそ、、いよ…」

私は、亮の言葉を聞いた瞬間に涙が出てきた。
この言葉をずっと待ってた。
笑顔で戻ってくるのを待ってた。
また一緒に帰れるって信じてた。
また会えるって…

だから、部室で再会したとき、どれほと嬉しかったか。

「なんで急にいなくなったの?」

「それは…そのうち、な」

亮がまた深刻そうな顔をしたから、これ以上は聞けないと思った。

「でも、亮にまた会えて嬉しい」

「おっ、俺もだ!」

3年ぶりに一緒に帰るこの感覚。
懐かしいな…と思う。
あの頃は、亮の事ばっかり考えてたななんて思い返すと、恥ずかしくなる。
今でも、昔からのかっこよさは変わらない。左目の横にあるほくろも、変わらずに存在する。
私は、亮の事をどこかで待っていたんだと思う、今まで告白された男子を、全員断ってきた。
だから、亮には、隣にいて欲しかった。
だから、再会できた事が、また新しい運命が開かれると思った。


「じゃあな!」

「うん!」

懐かしいなぁ。
私は、家に入ると、勢いよく階段をのぼり、定位置のベランダの端に座る。
すると、隣から窓の開く音がして、

「茉央、やっぱりそこにいる」

っていう、昔からのやりとりを始める。
もう、私は過去を振り返りながら、今の亮を重ねてみている。
背が高くなって、声が低くなって、それでも変わらない愛嬌があって。
でも、学年が一つ上なのが、どことなくさみしいような。

「茉央、あのさ。」

亮がベランダを乗り越えて私の部屋のベランダに降りる。



「俺と、付き合ってくんない??」
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