千代紙の小鳥

それの音で机に突っ伏して落ちていた意識が現へ戻った。

校舎にこの字型に囲われた中庭に降る雨は、雨粒やこぼれ雨などという可愛らしい振り方ではない。

これはもう篠突く雨、つまり土砂降りだ。



「お!起きたんか?ちゅーかえらい雨やなー。今日雨降る言うてたっけ?」

「…天気予報は晴れだった」


俺の前の席で授業中であるにもかかわらず、イヤホンを左のポケットから耳へと伸ばし漫画に読みふけっていた筈の友人が、突如降り出した雨音を曲の合間に聞いたらしく、片方のそれを外して窓を見ながら問うてきた。


「やんなー。俺も朝飯食いながら聞いたわ!
どこが『今日は澄み渡った青空が広がる一日でしょう』や!墨ぶっかけられたみたいな雲しか広がってへんわ!天気予報のお姉さん信じて傘ら持ってきてへんっちゅーねん!」


「山村!うるさい静かにしろ!」


去年関西からこの街に越してきた友人は、俺のイメージする”関西人”そのままな性格と喋り方で毎日の様に各担当教師に怒られている。
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