千代紙の小鳥
・・・―――――

それの音で机に突っ伏して落ちていた意識が現へ戻った。

校舎にこの字型に囲われた中庭に降る雨は、雨粒やこぼれ雨などという可愛らしい振り方ではない。

これはもう篠突く雨、つまり土砂降りだ。



「お!起きたんか?ちゅーかえらい雨やなー。今日雨降る言うてたっけ?」

「……天気予報は晴れだった」



・・・―――――


創立50年の年に大改装されまだ2年目の校舎は、学びの場としては少しおしゃれ感がありすぎる様にも思えるのだが、こういう小さな名残が学校なんのだと認識させる。

「席着けよー」



・・・―――――


「クール馬鹿野郎!!!」

(今回は悪かったな。でもその意味はわからない)



・・・―――――


タン タン タン タン


足が階段を一段上る度に響く音は何故か少しゆっくりとしていて。


(あ、)

鍵がかけられている筈のドアの数センチ開いたところから雨声が校内へと入ってきている。


俺はその真新しいそれのドアノブに手をかけ、キイと鳴らないドアをゆっくりと開けた。










「俺やっぱり、魚嫌いなんだ。

 でも君の事は、嫌いじゃない」

「奇遇ね」
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